なぜ90歳でも乳がん手術できるのか? 医師が語った“昔と今の決定的な違い”

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「昔だったら、90歳で乳がんなら“もうやめとこか”という話になっていたんですよ。でも今は違うんです。」
これは、実際に高齢の家族が乳がん治療を受けた際、医師から聞いた言葉です。
一昔前まで、「90歳でがん治療」と聞くと、多くの人が、
- そんな高齢で手術なんて危険では?
- もう年齢的に治療しない方がいいのでは?
- 麻酔に耐えられないのでは?
と考えていました。
しかし現代では、90歳前後でも乳がん手術を受け、元気に退院する人が珍しくなくなっています。
では、いったい何が変わったのでしょうか?
今回は、「昔と今の医療の決定的な違い」を、一般の人にも分かりやすく解説します。
昔の高齢者医療は「年齢」で線を引いていた
今から20〜30年前まで、高齢者医療は「年齢」が非常に重視されていました。
特に80代後半〜90代になると、
- 手術は危険
- 麻酔が危険
- 入院すると寝たきりになる
- 体力が持たない
という考えが強く、「積極的な治療は避ける」という流れが一般的でした。
もちろん、これは医師が冷たかったわけではありません。
当時は本当に、今ほど医療技術が発達していなかったのです。
特に怖かったのが、術後の合併症でした。
昔は「手術そのもの」より“術後”が危険だった
高齢者の手術では、昔から「手術中」だけでなく、“その後”が大きな問題でした。
例えば、
- 肺炎
- せん妄(急な認知症のような状態)
- 心不全
- 術後の寝たきり
- 食欲低下
- 筋力低下
などです。
特に高齢者は、数日寝込むだけで急激に筋力が落ちます。
これを現在では「フレイル」と呼びます。
昔は、
「手術は成功したけれど、その後に弱ってしまった」
というケースが少なくありませんでした。
そのため、医師側も慎重になり、
「年齢的にやめておきましょう」
という判断をすることが多かったのです。
現代は“麻酔”が劇的に進化した
では、なぜ今は90歳でも手術できるのでしょうか。
大きな理由の一つが、麻酔技術の進歩です。
昔の麻酔は、体への負担が比較的大きく、
- 覚醒が遅い
- 呼吸が弱る
- 肺炎になりやすい
などの問題がありました。
しかし現在は、
- 短時間で切れる麻酔薬
- 呼吸管理の向上
- 酸素濃度のリアルタイム監視
- 高齢者向けの麻酔調整
などが進化しました。
今の手術室では、
- 心拍数
- 血圧
- 酸素濃度
- 呼吸状態
を常時監視しています。
異常があればすぐ対応できるため、安全性が大幅に向上したのです。
乳がん手術そのものも“軽く”なった
昔の乳がん手術は、かなり大掛かりでした。
- 大きく切る
- 脇のリンパ節を大量に取る
- 長期間の入院
が普通だった時代もあります。
しかし現在は、
- 傷が小さい
- 必要最小限の切除
- リンパ節を必要な分だけ確認
- 術後すぐ歩かせる
- 早期退院
という方向へ大きく変わりました。
つまり、
「高齢者でも耐えやすい治療」
へ医療そのものが進化したのです。
「年齢」より“元気さ”を見る時代へ
現代医療では、単純な年齢だけでは判断しません。
実際、医師が重視しているのは、
- 歩けるか
- 自分で食事できるか
- 会話がしっかりできるか
- 心臓や肺が元気か
- 日常生活を送れているか
です。
つまり、
「90歳だからダメ」
ではなく、
「90歳でも元気なら可能」
という考え方に変わったのです。
逆に言えば、70代でも体力が低下している場合は慎重になることがあります。
今の医療は、“実年齢”より“身体年齢”を見ているとも言えます。
高齢者そのものが昔より元気になった
これは非常に大きなポイントです。
現代の90歳は、昔の90歳とはかなり違います。
理由は、
- 栄養状態の改善
- 高血圧治療の普及
- 糖尿病管理
- リハビリ技術
- ワクチン
- 運動習慣
などが進歩したからです。
昔は肺炎や脳卒中で弱ってしまう高齢者が多かったですが、現在は持病をコントロールしながら生活している人が増えています。
実際、
「90代でも普通に歩いて外来に来る」
という患者さんは、今では珍しくありません。
「寿命が延びた」ことも大きい
昔と今で大きく違うのが、“平均寿命”です。
医療が進歩したことで、90歳でもその後数年、元気に生活できる人が増えました。
すると医師の考え方も変わります。
もし乳がんを放置すれば、
- 痛み
- 出血
- 皮膚の崩れ
- におい
- 転移
などによって、生活の質が大きく下がることがあります。
つまり、
「残りの人生を快適に過ごすために治療する価値」
が高くなったのです。
単に寿命を延ばすだけでなく、
「苦痛を減らす」
という意味でも、現代医療は積極的に治療を考えるようになりました。
ホルモン治療の進歩も大きい
高齢者の乳がんは、女性ホルモンに反応するタイプが比較的多いと言われています。
そのため現在は、
- タモキシフェン
- アロマターゼ阻害薬
などを使い、再発リスクを下げる治療も行われています。
昔は、
「切るしかない」
時代でした。
しかし今は、
「薬で長くコントロールする」
という考え方が一般的になっています。
この進歩も、高齢者医療を大きく変えました。
「高齢だから諦める時代」ではなくなった
もちろん、すべての90歳が手術できるわけではありません。
- 重い心不全
- 重度の認知症
- 寝たきり
- 肺機能低下
などがある場合は、慎重な判断になります。
しかし現代では、
「高齢=治療不可」
という単純な時代ではなくなりました。
医師は現在、
「その人がどれだけ元気か」
を丁寧に見ています。
これは、高齢者にとって非常に大きな希望です。
まとめ|現代医療は“年齢”より“生活力”を見る
90歳で乳がん手術。
一昔前なら驚かれる話だったかもしれません。
しかし現代では、
- 麻酔の進歩
- 手術技術の向上
- 術後管理の進化
- ホルモン治療の発達
- 高齢者の健康状態改善
によって、「高齢でも治療できる時代」になりました。
そして今、医師たちは単に年齢だけを見るのではなく、
- 歩けるか
- 食べられるか
- 日常生活を送れているか
という“生活力”を重視しています。
つまり、
「90歳だから無理」
ではなく、
「90歳でも元気なら可能」
という時代に変わったのです。
高齢化社会が進む日本では、これからますます「高齢者医療の進化」が重要になっていくでしょう。

