脳梗塞を防ぐ食事とは? 減塩・血圧・血糖値から考える予防法

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脳梗塞は、脳の血管が詰まり、脳の細胞に十分な血液が届かなくなる病気です。発症すると、手足のまひや言葉の障害などが残り、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
脳梗塞を予防するためには、日頃から血圧や血糖値を適切に管理し、血管に負担をかけにくい生活を送ることが大切です。
そのなかでも、毎日の食事は見直しやすいポイントの一つです。
「塩分を減らすには、何を食べればよいのか?」
「血糖値を上げにくい食事とは?」
「魚や野菜を食べると、脳梗塞の予防になるのか?」
この記事では、こうした疑問に答えながら、脳梗塞の予防につながる食事の考え方と、今日からできる具体的な工夫を紹介します。
※この記事は一般的な健康情報です。すでに脳梗塞を発症したことがある方、糖尿病や腎臓病などの持病がある方は、主治医の指示を優先してください。
脳梗塞の予防で、なぜ食事が重要なのか?
脳梗塞の危険因子には、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、心房細動などがあります。
このうち、食事によって改善を目指せるものとして、特に重要なのが次の3つです。
- 高血圧につながる塩分の取り過ぎ
- 血糖値の上昇や糖尿病につながる食生活
- 脂質異常症や肥満につながる食事の偏り
例えば、塩分の多い食事を長年続けると、高血圧になりやすくなります。高血圧は脳卒中の大きな危険因子であり、血圧を適切に管理することは予防の基本です。
また、糖尿病によって動脈硬化が進むと、脳梗塞などの血管の病気を起こすリスクが高まります。
つまり、脳梗塞の予防では、単に健康によい食品を食べるだけでなく、血管に負担をかける要因を減らすことが重要なのです。
最初に取り組みたいのは減塩
日本人の食生活で特に注意したいのが、食塩の取り過ぎです。
塩分の過剰摂取は高血圧の原因の一つです。高血圧になると、脳の血管に負担がかかり、脳梗塞や脳出血などの危険性が高まります。
日本高血圧学会は、高血圧の予防・治療において、食塩摂取量を1日6g未満にすることを推奨しています。
一方、一般成人の食塩摂取目標量は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、男性7.5g未満、女性6.5g未満です。
このように、目標量は対象によって異なりますが、塩分を取り過ぎない習慣を身につけることが大切です。
塩分を減らすための具体的な方法
① 味噌汁やスープは飲み過ぎない
味噌汁やスープは、具材だけでなく汁にも塩分が含まれています。
毎食、汁物を大量に飲んでいる場合は、量を減らしたり、具だくさんにして汁を少なめにしたりするだけでも工夫になります。
② 醤油やソースは、かけるより付ける
料理に醤油を直接かけると、必要以上に使ってしまうことがあります。
小皿に少量を取り、食材に付けて食べる方法に変えてみましょう。
③ 漬物や加工食品の頻度を見直す
梅干し、漬物、塩辛、ハム、ソーセージ、インスタント食品などは、種類や商品によって塩分が多く含まれています。
すべてを禁止する必要はありませんが、食べる頻度や量を見直すことが大切です。
④ 麺類のスープは残す
ラーメンやうどん、そばなどは、つゆやスープを飲み干すと塩分の摂取量が増えやすくなります。
まずはスープを残す習慣から始めてみましょう。
⑤ 食品表示で食塩相当量を確認する
加工食品や弁当を購入するときは、栄養成分表示の「食塩相当量」を確認します。
一つの商品だけでなく、1日の食事全体で塩分をどのくらい取っているか考えることがポイントです。
血圧を安定させるために食べたい食品
減塩とともに意識したいのが、栄養バランスです。
おすすめしたいのは、野菜、果物、大豆製品、魚などを組み合わせた食事です。
野菜を毎日の食事に取り入れる
野菜には、カリウムや食物繊維などの栄養素が含まれています。
カリウムは、体内のナトリウムの排出に関わる栄養素です。野菜を食べることは、食生活全体を整えるうえで役立ちます。
例えば、次のような食品を活用できます。
- ほうれん草や小松菜
- ブロッコリー
- トマト
- キャベツ
- にんじん
- きのこ類
野菜を増やすときは、ドレッシングや塩を大量に使わないように注意しましょう。
なお、腎臓の機能が低下している方や、血液中のカリウム値が高い方は、カリウムの摂取制限が必要な場合があります。持病がある方は、医師や管理栄養士に相談してください。
果物は適量を取り入れる
果物には、ビタミン、食物繊維、カリウムなどが含まれています。
厚生労働省の情報でも、果物の摂取と循環器疾患のリスク低下との関連が紹介されています。
リンゴ、ミカン、キウイなど、食べやすいものを適量取り入れるとよいでしょう。
ただし、果物を大量に食べればよいわけではありません。糖尿病などで血糖管理が必要な方は、食べる量について主治医や管理栄養士に相談してください。
また、果汁飲料は食物繊維が少なく、糖分を取り過ぎやすいため、果物そのものを食べる方法がおすすめです。
大豆製品を活用する
豆腐、納豆、無調整豆乳などの大豆製品は、たんぱく質を補う食品として便利です。
肉だけに偏らず、魚や大豆製品などからもたんぱく質を取るようにすると、食事のバランスを整えやすくなります。
ただし、納豆のたれや豆腐にかける醤油には塩分が含まれています。減塩を意識するなら、調味料の量にも注意しましょう。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「果物1日200gのすすめ」
血糖値を管理する食事のポイント
糖尿病は、脳梗塞の危険因子の一つです。
血糖値が高い状態が続くと、動脈硬化が進みやすくなります。そのため、糖質を極端に減らすことよりも、食事全体を整えて血糖値を管理することが重要です。
主食だけに偏らない
白米、パン、麺類などの主食は、体を動かすためのエネルギー源です。
主食を食べてはいけないわけではありません。ただし、ご飯やパン、麺類だけで食事を済ませると、たんぱく質や食物繊維などが不足しやすくなります。
例えば、次のように組み合わせてみましょう。
- ご飯に焼き魚と野菜のおかず
- 食パンに卵とサラダ
- そばに豆腐や野菜のおかず
主食、主菜、副菜を組み合わせることを基本にします。
甘い飲み物を飲み過ぎない
砂糖入りの清涼飲料水や甘いコーヒー飲料は、気づかないうちに糖分を多く摂取する原因になります。
普段から甘い飲み物を飲む習慣がある方は、水や無糖のお茶などに置き換える方法を試してみましょう。
食事は規則正しく、ゆっくり食べる
食事を抜いたり、極端に空腹になってから大量に食べたりする習慣は、食生活の乱れにつながります。
毎日できるだけ規則正しく食事を取り、よくかんで食べることを心がけましょう。
なお、糖尿病の方は、服用している薬によって食事の取り方に注意が必要な場合があります。自己判断で食事量を大幅に減らすのではなく、医療機関の指導に従ってください。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「病気の予防・治療と食事」
魚や脂質の取り方も見直そう
脳梗塞の予防では、血圧だけでなく、血液中の脂質や動脈硬化にも目を向ける必要があります。
魚には、たんぱく質や脂質が含まれています。特にサバ、イワシ、サンマなどの青魚には、EPAやDHAと呼ばれる脂肪酸が含まれています。
魚を定期的に食べることは、食事のバランスを整えるうえで役立ちます。
一方で、魚を食べれば脳梗塞を確実に防げるというわけではありません。塩焼きに塩をたくさん振ったり、塩分の多い加工品を頻繁に食べたりすれば、減塩の効果を損なうことがあります。
また、脂身の多い肉や揚げ物ばかりに偏らず、調理方法も工夫しましょう。
- 焼く、蒸す、煮るなどの調理方法を活用する
- 揚げ物を毎日のように食べる習慣を見直す
- 肉、魚、大豆製品を組み合わせる
- バターや脂身の多い肉などに偏らないようにする
特にLDLコレステロールが高い方は、食事だけで改善できるとは限りません。必要に応じて医療機関で検査や治療を受けましょう。
脳梗塞の予防を意識した1日の食事例
ここまで紹介したポイントを、実際の食事に当てはめてみましょう。
次の献立は、特定の病気の治療食ではなく、一般的な食生活を見直すための一例です。
朝食
- ご飯
- 卵料理
- 野菜のおかず
- 果物少量
- 無糖のお茶
朝食では、主食だけでなく、たんぱく質や野菜も組み合わせます。
昼食
- ご飯
- 焼き魚
- 野菜の副菜
- きのこや野菜を使ったおかず
魚を取り入れることで、肉だけに偏らない献立にできます。味付けは、醤油や塩を控えめにして、香味野菜や酢なども活用しましょう。
夕食
- ご飯
- 豆腐や鶏肉などのおかず
- 野菜の煮物
- 野菜を使った副菜
夕食も、主食、主菜、副菜を基本にします。味噌汁を付ける場合は、薄味にして飲む量にも気を配りましょう。
この献立のポイントは、特別な健康食品を買う必要がないことです。
普段の食事を少しずつ見直し、塩分を減らしながら、必要な栄養素をバランスよく取ることを目指します。
なお、必要な食事量は、年齢、体格、活動量、持病などによって異なります。高齢者では、減塩を意識するあまり食事量やたんぱく質が不足しないように注意することも重要です。
食事だけでは不十分。血圧を測る習慣も大切
脳梗塞の予防を考えるとき、食事とあわせて実践したいのが血圧測定です。
高血圧は自覚症状がないことも多く、体調がよいからといって血圧が正常とは限りません。
家庭で血圧を測定し、日々の変化を確認する習慣を身につけましょう。
血圧を測るときは、できるだけ毎日同じような条件で測定し、記録しておくと、医療機関で相談する際にも役立ちます。
また、健康診断では、血糖値やHbA1c、LDLコレステロールなども確認しましょう。
高血圧や糖尿病などが見つかった場合は、食事の改善だけで対応しようとせず、必要な治療を受けることが重要です。
すでに血圧の薬や糖尿病の薬を服用している方は、自己判断で中断しないでください。
脳梗塞の予防では、食事以外の生活習慣も見直す
食事を改善することは大切ですが、それだけですべての危険因子を管理できるわけではありません。
次のような習慣もあわせて見直しましょう。
適度に体を動かす
ウォーキングなどの有酸素運動を、体調や体力に合わせて継続します。持病がある方や運動に不安がある方は、医師に相談してください。
喫煙をやめる
喫煙は脳卒中を含む循環器疾患の危険因子です。禁煙に取り組むことも重要な予防策です。
飲酒量を見直す
大量の飲酒は脳卒中のリスクを高めます。飲酒する方は、量や頻度を見直しましょう。
心房細動にも注意する
心房細動という不整脈があると、心臓の中に血栓ができ、それが脳の血管に流れて脳梗塞を引き起こすことがあります。動悸などの症状がある場合や、健診で不整脈を指摘された場合は、医療機関で相談してください。
脳梗塞を防ぐために、今日から始めたい5つの習慣
最後に、日々の生活で取り組みやすいポイントをまとめます。
- 塩分を減らす: 醤油やソースを使い過ぎず、麺類の汁を残す。
- 野菜を増やす: 毎日の食事に野菜のおかずを取り入れる。
- 食事のバランスを整える: 主食、主菜、副菜を組み合わせる。
- 甘い飲み物を控える: 水や無糖のお茶を活用する。
- 血圧と健診結果を確認する: 家庭血圧を測り、血糖値や脂質も定期的に確認する。
一度にすべてを完璧に実践する必要はありません。
まずは、毎日飲んでいる味噌汁の量を減らす、食品表示を見る、家庭で血圧を測るなど、続けやすいことから始めてみましょう。
小さな習慣の積み重ねが、将来の健康を守ることにつながります。
まとめ:脳梗塞の予防は、毎日の食事と健康管理から
脳梗塞の予防では、特定の食品だけに頼るのではなく、減塩を基本に、血圧、血糖値、脂質などを総合的に管理することが大切です。
野菜や果物、大豆製品、魚などをバランスよく取り入れ、塩分や糖分の取り過ぎを防ぐことを意識しましょう。
さらに、家庭での血圧測定、定期的な健康診断、適度な運動、禁煙などを組み合わせることで、予防に向けた取り組みを進められます。
ただし、食事を改善すれば脳梗塞を完全に防げるわけではありません。年齢や体質、持病などによってもリスクは異なります。必要な検査や治療を受けながら、無理なく続けられる生活習慣を身につけることが重要です。
もし突然、片側の手足に力が入らない、顔の片側がゆがむ、言葉が出にくいといった症状が現れたら、食事や休息で様子を見ず、すぐに119番へ通報してください。 一時的に症状が改善した場合でも、速やかな医療機関での評価が必要です。
脳梗塞の予防は、特別なことをするよりも、毎日の食事と健康管理を少しずつ見直すことから始まります。
今日の食事を見直すことが、将来の健康を守る第一歩になります。


