若い人に増える「新型栄養失調」とは?食べているのに栄養不足になる理由

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「毎日ちゃんと食べているのに、なんとなく疲れる」
「コンビニや外食で食事はしているけれど、野菜はあまり食べていない」
「ダイエットのために、ご飯や肉を減らしている」
そんな食生活を続けている人は、注意が必要かもしれません。
最近、「新型栄養失調」という言葉が使われることがあります。
これは、食事そのものをほとんど取らない昔ながらの栄養失調とは異なり、カロリーはある程度足りていても、特定の栄養素が不足している状態を説明する言葉として使われています。
医学的な正式病名ではありませんが、現代の食生活を考えるうえで分かりやすい表現です。
特に若い世代では、食事の簡略化、朝食欠食、外食・中食への依存、極端なダイエットなどによって、食事の「量」は足りていても「質」が偏ることがあります。
農林水産省の2025年度の評価では、若い世代で「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べている」割合は23.8%でした。また、朝食を欠食する若い世代は28.2%でした。
この記事では、「新型栄養失調」と呼ばれる状態がなぜ起こるのか、どんな栄養素が不足しやすいのか、そして忙しい若い人でも実践しやすい対策について解説します。
「新型栄養失調」とは?
まず知っておきたいのは、「新型栄養失調」は医学的な正式名称ではないということです。
一般には、
食事をしていて、一見するとカロリーも取れているように見えるのに、必要な栄養素が十分に取れていない状態
を指して使われます。
例えば、
- パンだけで朝食を済ませる
- おにぎりだけで昼食を済ませる
- カップ麺だけで夕食を済ませる
- お菓子や菓子パンで空腹を満たす
- ダイエットで肉や魚を極端に減らす
- 野菜や果物をほとんど食べない
といった食生活です。
これらは「何も食べていない」わけではありません。
むしろ、エネルギーはある程度取れている場合があります。
しかし、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの摂取が不足すると、食事全体としての栄養バランスが崩れる可能性があります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも、健康維持のためにエネルギーだけでなく、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどの各栄養素について基準が設定されています。
つまり、
「お腹いっぱい食べた=栄養が足りている」ではありません。
ここが「新型栄養失調」を理解する重要なポイントです。
なぜ「食べているのに」栄養不足になるのか?
1.食事の品数が少なくなっている
栄養バランスを崩す大きな原因の一つが、食事の単純化です。
例えば、
朝
菓子パン+コーヒー
昼
おにぎり+飲み物
夜
カップ麺
という生活を考えてみましょう。
カロリーはある程度取れていても、
- 肉
- 魚
- 卵
- 大豆製品
- 野菜
- 果物
- 乳製品
などの食品が不足しやすくなります。
すると、食品に含まれるさまざまな栄養素を十分に取ることが難しくなります。
2.「主食だけ」の食事になっている
忙しいと、
「とりあえずおにぎり」
「とりあえずパン」
「とりあえず麺」
となりがちです。
主食は重要です。
ご飯、パン、麺などに含まれる炭水化物は、体を動かすエネルギー源になります。
問題は、主食だけで食事を終えてしまうことです。
食事を考えるときには、
主食+主菜+副菜
という組み合わせを意識すると分かりやすくなります。
- 主食=ご飯、パン、麺など
- 主菜=肉、魚、卵、大豆製品など
- 副菜=野菜、きのこ、海藻など
農林水産省の調査でも、若い世代ではこの3つを組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べる割合が低く、2025年度は23.8%でした。
つまり、若い世代の食生活では、単純に「食べる量」だけではなく、食事の組み合わせが課題になっています。
3.朝食を抜いてしまう
朝食を抜くことも、1日の栄養バランスを崩す原因になります。
「朝は食欲がない」
「時間がない」
「ギリギリまで寝ていたい」
など、朝食を取らない理由はさまざまです。
農林水産省の2025年度の評価では、朝食を欠食する若い世代の割合は28.2%でした。
もちろん、朝食を一度抜いたからといって、直ちに栄養失調になるわけではありません。
重要なのは、朝食を抜くことが慢性化し、その分の栄養を他の食事で補えていないケースです。
例えば、
朝食なし
↓
昼はおにぎりだけ
↓
夕方にお菓子
↓
夜に大量に食べる
というパターンになると、食事のリズムだけでなく栄養の組み合わせも偏りやすくなります。
4.ダイエットで食事を減らしすぎる
若い世代では、体重や体型を気にして食事量を減らすケースもあります。
特に、
- ご飯を極端に減らす
- 肉を避ける
- 脂質を完全に避ける
- 1日1食にする
- 野菜だけを食べる
など、特定の食品や栄養素を極端に避ける方法には注意が必要です。
健康的な体重管理では、単純に「食べない」ことよりも、必要な栄養素を確保しながらエネルギー量を調整することが重要です。
厚生労働省の2025年版「日本人の食事摂取基準」も、エネルギーだけでなく、さまざまな栄養素を含めて健康維持や生活習慣病予防などとの関係を整理しています。
5.「安くて便利な食品」に偏る
現代では、コンビニやスーパー、ファストフード、冷凍食品など、非常に便利な食品が身近にあります。
これは悪いことではありません。
問題は、
便利な食品だけで食事を完結させること
です。
例えば、
「おにぎり+菓子パン」
よりも、
「おにぎり+ゆで卵+野菜」
のほうが食品の種類が増えます。
「カップ麺」だけよりも、
「カップ麺+卵+サラダ」
などとすれば、食事全体の組み合わせを改善できます。
つまり、すべてを自炊する必要はありません。
「不足しているものを1品追加する」
という考え方でも十分実践できます。
不足しやすい栄養素には何がある?
「新型栄養失調」を考えるときは、特定の栄養素だけに注目するのではなく、食事全体を見ることが重要です。
特に意識したいのが次の栄養素です。
たんぱく質
たんぱく質は、筋肉、皮膚、髪、臓器など、体を構成する重要な栄養素です。
肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などから摂取できます。
「ダイエットだから肉を食べない」という人は、卵、魚、豆腐、納豆、ヨーグルトなどを活用するとよいでしょう。
鉄
鉄は血液中のヘモグロビンなどに関係する重要なミネラルです。
肉、魚介類、大豆製品、野菜など、さまざまな食品に含まれています。
特に月経のある女性では鉄の必要量が大きくなるため、食事量が少ない人や食品の種類が少ない人は注意が必要です。
ただし、「疲れやすい=鉄不足」と自己判断するのは避けましょう。
疲労には睡眠不足、ストレス、感染症など、さまざまな原因があります。
カルシウム
カルシウムは骨や歯だけでなく、筋肉の働きなどにも関係しています。
牛乳・ヨーグルトなどの乳製品のほか、小魚、大豆製品などにも含まれています。
若い時期は「まだ骨が丈夫だから大丈夫」と考えがちですが、長期的な骨の健康を考えるうえでも、日頃の食生活は重要です。
ビタミン
ビタミンは体内でさまざまな働きをしています。
野菜、果物、肉、魚、卵、乳製品など、さまざまな食品から摂取できます。
そのため、
「一つの食品だけを大量に食べる」よりも「食品の種類を増やす」
ことが基本になります。
食物繊維
野菜、果物、豆類、きのこ、海藻、全粒穀物などに含まれています。
食物繊維を十分に取るには、野菜だけに頼る必要はありません。
例えば、
- 納豆
- 豆
- きのこ
- 海藻
- 果物
- 雑穀
- 全粒粉食品
などを組み合わせる方法があります。
「野菜不足」だけを問題にしてはいけない
栄養の話になると、
「野菜を食べれば健康になる」
と考えがちです。
しかし、これは少し単純化しすぎています。
例えば、
野菜だけを大量に食べて、たんぱく質やエネルギーが不足する
という食事もあります。
大切なのは、
主食・主菜・副菜を基本として、食品の種類を増やすこと
です。
農林水産省の調査でも、若い世代が栄養バランスの取れた食事を増やすために必要なこととして、「手間がかからないこと」「時間があること」「食費に余裕があること」などが挙げられています。
つまり、若い人の食生活を改善するには、
「もっと健康を意識しなさい」
と言うだけでは不十分です。
時間、手間、費用という現実的な問題も考える必要があります。
「新型栄養失調」を防ぐ簡単な食事法
難しい栄養計算を毎日する必要はありません。
まずは、
① 主食
ご飯・パン・麺
② 主菜
肉・魚・卵・豆腐・納豆
③ 副菜
野菜・きのこ・海藻
この3つを意識しましょう。
さらに余裕があれば、
④ 乳製品
牛乳・ヨーグルトなど
⑤ 果物
を加えます。
例えば、
朝
- ご飯
- 卵
- 味噌汁
- ヨーグルト
昼
- おにぎり
- サラダ
- 鶏肉
夜
- ご飯
- 魚
- 野菜のおかず
- 豆腐
といった形です。
毎食完璧にする必要はありません。
1日、あるいは数日単位で見て、食品の種類が偏っていないか確認するだけでも役立ちます。
コンビニでも栄養バランスは改善できる
忙しい人にとって、毎日自炊するのは簡単ではありません。
そこで便利なのが、
「単品を組み合わせる」方法です。
例えば、
おにぎりだけ
↓
おにぎり+ゆで卵+サラダ
さらに、
おにぎり+ゆで卵+サラダ+ヨーグルト
というようにします。
カップ麺の場合も、
カップ麺+卵+野菜のおかず
など、足りない食品を追加する方法があります。
「自炊できないから健康的な食事ができない」と考える必要はありません。
「栄養不足かも」と感じたときのチェックポイント
次のような食生活が続いていないか確認してみましょう。
- 朝食をほとんど食べない
- 毎日同じような食品ばかり食べる
- 野菜をほとんど食べない
- 魚をほとんど食べない
- 肉・卵・豆類などをあまり食べない
- 果物をほとんど食べない
- 牛乳や乳製品をほとんど取らない
- インスタント食品だけで食事を済ませることが多い
- 菓子パンやお菓子が食事代わりになる
- ダイエットのために食事を極端に減らしている
- 1日1食になることが多い
- 食品の種類が極端に少ない
いくつも当てはまる場合は、まず「食べる量」だけではなく、食品の種類と組み合わせを見直してみましょう。
「疲れやすい=栄養失調」とは限らない
ここは非常に重要です。
栄養についての記事を読むと、
「最近疲れる。もしかして栄養失調?」
と心配になる人もいるでしょう。
しかし、
- 疲労
- 集中力低下
- 眠気
- 肌の変化
- 体重減少
などは、栄養不足だけで起こるものではありません。
睡眠不足、ストレス、運動不足、感染症、薬の影響など、さまざまな原因があります。
症状が続く場合や、意図しない体重減少、強い倦怠感などがある場合は、自己判断でサプリメントを大量に取るのではなく、医療機関などに相談することが大切です。
サプリメントだけで解決しようとしない
栄養不足が心配になると、
「マルチビタミンを飲めばいい」
と考える人もいます。
しかし、基本は食事です。
食事には栄養素だけでなく、
- 食物繊維
- 水分
- 食品に含まれるさまざまな成分
などがあります。
国立健康・栄養研究所も、科学的根拠に基づいた健康的な食事について、特定の食品だけに頼るのではなく、食塩を控えることや全粒穀物などを含めた食事全体について情報を提供しています。
サプリメントは「食事の代わり」ではありません。
「食べる量」より「食べ方」を見直そう
新型栄養失調という言葉から、
「現代の若者はみんな栄養失調になっている」
と考える必要はありません。
重要なのは、若い世代の中に、
食事はしているものの、食事内容が単調になり、栄養バランスが崩れている人が一定数いる
ということです。
実際、2025年度の食育推進施策の評価では、若い世代の朝食欠食率は28.2%、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べる割合は23.8%でした。
これは「若者全員が栄養不足」という意味ではありません。
しかし、若い世代の食生活を考えるうえで、食事の簡略化やバランスの偏りが一つの課題になっていることを示すデータといえます。
今日からできる「3つの改善」
最後に、難しい栄養計算をしなくてもできる方法を3つ紹介します。
① 1食に「主菜」を追加する
おにぎりだけなら、
おにぎり+卵
にする。
パンだけなら、
パン+ヨーグルト
にする。
麺だけなら、
麺+卵や肉
にする。
まずは「たんぱく質を含む食品を1品追加する」という考え方です。
② 1日に「野菜・果物」を追加する
野菜不足が気になるなら、
- サラダ
- 野菜スープ
- 冷凍野菜
- トマト
- きのこ
- 海藻
など、手軽なものを利用します。
果物なら、
- バナナ
- みかん
- りんご
などでも構いません。
③ 「同じものばかり」を避ける
これが意外に重要です。
毎日、
パン+コーヒー
ラーメン
カレー
という生活より、
パン+卵
ご飯+魚
麺+肉+野菜
のように、食品の種類を少しずつ変えていきます。
栄養改善の第一歩は、食事を完璧にすることではなく、食卓に登場する食品を増やすことです。
まとめ――「食べているのに栄養不足」は現代の食生活の落とし穴
「新型栄養失調」は正式な医学用語ではありません。
しかし、
「食べているから栄養は足りている」とは限らない
という現代の食生活の問題を考えるうえでは、分かりやすい言葉です。
特に注意したいのは、
- 朝食を抜く
- 主食だけで食事を済ませる
- 野菜・果物が少ない
- 肉・魚・卵・豆類が少ない
- ダイエットで食事を減らしすぎる
- 同じ食品ばかり食べる
- 外食・中食・インスタント食品だけで食事を完結させる
といった食生活です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」は、健康の保持・増進だけでなく、生活習慣病の予防や生活機能の維持・向上という観点から、エネルギーとさまざまな栄養素について基準を示しています。
だからこそ、健康的な食生活を考えるときには、
「何カロリー食べたか」だけでなく、「何を組み合わせて食べたか」
を見ることが大切です。
忙しい毎日なら、最初から完璧を目指す必要はありません。
「おにぎりだけ」なら卵を1個追加する。
「麺だけ」なら野菜を追加する。
「朝食抜き」ならバナナやヨーグルトから始める。
そんな小さな改善でも、食生活を変えるきっかけになります。
食べることは、単に空腹を満たすことではありません。
毎日の食事は、未来の体を少しずつ作っていく生活習慣なのです。


