呼吸が浅いのはなぜ?ストレス・姿勢・自律神経から原因をわかりやすく解説

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「最近、呼吸が浅い気がする」
「胸まで空気が入ってこない感じがする」
「深呼吸しても、なぜかスッキリしない」
このような経験はありませんか?
呼吸が浅く感じると、「肺に異常があるのでは?」「酸素が足りていないのでは?」と心配になることがあります。
しかし、呼吸の変化にはさまざまな原因があり、ストレスや緊張、姿勢、呼吸のクセなどによって呼吸パターンが変化している場合もあります。
一方で、喘息やCOPD、心臓や肺の病気などが隠れている可能性もあるため、「浅い呼吸=自律神経の問題」と決めつけるのは適切ではありません。
この記事では、呼吸が浅く感じる主な原因を、ストレス・姿勢・自律神経との関係から分かりやすく解説します。
「呼吸が浅い」とはどういう状態?
「呼吸が浅い」という言葉は医学的な病名ではありません。
一般的には、
- 一回の呼吸が小さい
- 胸や肩だけで呼吸している感じがする
- 深く息を吸いにくい
- 深呼吸を何度もしたくなる
- 息を吸っても満足できない感じがする
といった感覚を指して使われます。
実際には、呼吸の回数、深さ、呼吸に使う筋肉、呼吸のリズムなどが変化していることがあります。
呼吸は本来、意識しなくても自動的に行われています。状況に応じて呼吸が速くなったり深くなったりするのも正常な反応です。日本呼吸器学会によると、安静時の呼吸は通常1分間におよそ12~20回です。
つまり、「いつもより呼吸が浅い」という感覚だけで、すぐに肺の病気と判断することはできません。
呼吸が浅く感じる主な原因
呼吸が浅く感じる背景には、いくつかの要因があります。
代表的なのが、
- ストレスや緊張
- 姿勢や身体の使い方
- 呼吸のクセ
- 運動不足や体力低下
- 鼻や気道の問題
- 喘息やCOPDなどの呼吸器疾患
- 心臓など呼吸器以外の病気
などです。
特に日常生活で起こりやすいのが、ストレスや姿勢による呼吸パターンの変化です。
1.ストレスや緊張で呼吸が浅くなる
緊張すると呼吸が変化することがあります。
たとえば、
- 仕事で緊張している
- 人間関係で悩んでいる
- 不安なことを考え続けている
- パソコンやスマホに集中している
- 常に時間に追われている
といった状態です。
精神的な緊張が強くなると、呼吸が速くなったり、胸や肩を使った呼吸になったりすることがあります。
ストレスが一時的なものであれば、状況が落ち着くと呼吸も通常に戻ります。
ところが、ストレスが長期間続くと、変化した呼吸パターンが習慣化することがあります。
NHSの医療情報でも、ストレスや不安、身体的な病気などをきっかけとして、効率の悪い呼吸パターンが続くことがあると説明されています。
2.「自律神経の乱れ」と呼吸の関係
呼吸と自律神経は密接に関係しています。
呼吸は自分で意識してコントロールできる一方、普段は自動的に行われています。
そのため、緊張やリラックスなど身体の状態が変化すると、呼吸にも変化が現れます。
たとえば緊張していると、
「肩に力が入る」
↓
「胸や肩を使った呼吸になる」
↓
「呼吸が速くなる」
↓
「息苦しい感じがする」
という流れが起こることがあります。
ただし、ここで注意したいのが、
「呼吸が浅い=自律神経が乱れている」
と断定しないことです。
「自律神経の乱れ」という言葉は日常的によく使われますが、呼吸が浅い原因には呼吸器疾患や心臓の病気など、別の原因もあります。
そのため、自律神経だけに原因を求めるのではなく、症状の出方を観察することが重要です。
3.姿勢が呼吸に影響することもある
姿勢も呼吸のしやすさに関係します。
特にデスクワークやスマートフォンの使用などで、長時間同じ姿勢を続けていると、
- 背中が丸くなる
- 肩が前に出る
- 首が前に出る
- 胸郭が動きにくく感じる
といった状態になることがあります。
呼吸は、横隔膜や肋骨周辺の筋肉などを使って行われています。
そのため、身体を強く縮めた姿勢が続くと、呼吸運動そのものがしにくく感じられる場合があります。
ただし、「猫背だから肺に酸素が入らない」と単純に考えるのは正確ではありません。
姿勢は呼吸の「感じ方」や呼吸パターンに影響する一つの要素として考えるとよいでしょう。
4.「深く吸わなければ」と意識しすぎることもある
呼吸が浅いと感じると、
「もっと空気を吸わなければ」
と思って、何度も大きく息を吸いたくなることがあります。
ところが、必要以上に大きく、速く呼吸を繰り返すと、かえって息苦しさを感じることがあります。
これは過換気と関係する場合があります。
日本呼吸器学会によると、過換気では二酸化炭素が低下し、しびれや息苦しさなどの症状が出ることがあります。精神的な不安や緊張が誘因になることもあります。
つまり、
「息苦しい」
↓
「もっと吸わなければ」
↓
「呼吸を大きくする」
↓
「さらに呼吸の感覚が気になる」
という悪循環が起こることがあります。
5.「浅い呼吸」と「過呼吸」は同じではない
ここは非常に重要です。
「呼吸が浅い」と「過呼吸」は同じものではありません。
過呼吸は、必要以上に換気している状態を指します。
呼吸が浅く感じる人が、必ずしも過呼吸になっているわけではありません。
逆に、呼吸が速くなったり、深くなったりしている場合には、過換気によって息苦しさを感じている可能性があります。
日本呼吸器学会では、過換気症候群について、肺や心臓の検査で異常が認められない場合でも発作的な息苦しさが起こることがあり、強い不安や緊張が関係する場合があるとしています。
6.呼吸のクセが定着している場合もある
ストレスや体調不良などをきっかけに呼吸パターンが変わり、その状態が長く続くことがあります。
医学・理学療法の分野では、このような状態を「dysfunctional breathing(呼吸パターン障害)」などと呼ぶことがあります。
特徴として、
- ため息が多い
- あくびが多い
- 呼吸が速い
- 胸の上部を中心に呼吸する
- 少し動いただけで息苦しく感じる
- 呼吸と会話をうまく合わせにくい
などがみられることがあります。
重要なのは、呼吸パターンが変化している場合でも、必ずしも肺そのものに病気があるとは限らないという点です。
7.病気が原因で呼吸が浅く感じることもある
ここは自己判断しないほうがよい部分です。
呼吸の異常感覚は、さまざまな病気でも起こります。
例えば、
- 喘息
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)
- 肺炎などの呼吸器感染症
- 心臓の病気
- 貧血など
でも息切れや呼吸困難が起こることがあります。
特に、以前はなかった息苦しさが新しく出てきた場合や、徐々に悪化している場合は、「ストレスのせいだろう」と自己判断しないことが大切です。
日本呼吸器学会は、息苦しさについて酸素不足や二酸化炭素の増加などを身体が感知して生じる場合があると説明しています。
呼吸が浅いと感じたときに確認したい5つ
まず、次のことをチェックしてみましょう。
① いつから始まった?
突然なのか、数週間・数か月かけてなのか。
② どんなときに起こる?
- 安静時
- 仕事中
- スマホを見ているとき
- 人前
- 階段を上ったとき
- 寝る前
など、状況によって原因を考えるヒントになります。
③ ストレスと連動している?
緊張すると強くなり、リラックスすると軽くなるなら、心理的な緊張や呼吸パターンが関係している可能性があります。
ただし、それだけで原因を確定することはできません。
④ 咳やゼーゼーする音はない?
咳、喘鳴、痰などが一緒にある場合は、呼吸器の病気も考える必要があります。
⑤ 運動すると悪化する?
以前は平気だった階段や坂道で息切れするようになった場合は、単なる「呼吸のクセ」と決めつけないほうがよいでしょう。
呼吸が浅いとき、自分でできること
原因となる病気がないことを確認したうえで、日常生活では次のようなことを試せます。
まず「大きく吸う」ことを繰り返さない
呼吸が浅く感じると、深呼吸を何度もしたくなります。
しかし、必要以上に大きく呼吸すると、かえって呼吸の違和感が強くなることがあります。
「たくさん吸う」よりも、無理なくゆっくり吐くことを意識するほうが、呼吸を落ち着かせやすい場合があります。
日本呼吸器学会も、過換気症候群の対応として、ゆっくり小さな呼吸を行い、呼気をゆっくり行う方法を紹介しています。
肩の力を抜く
呼吸を改善しようとして、肩や胸に力を入れる必要はありません。
肩を下げ、首や胸の力を抜いて、自然な呼吸に戻すことを意識します。
長時間同じ姿勢を避ける
パソコンやスマートフォンを長時間使う場合は、時々立ち上がって身体を動かしましょう。
「呼吸トレーニング」だけをするよりも、普段の姿勢や身体活動を見直すことも大切です。
「深呼吸」は万能ではない
「呼吸が浅いなら、深呼吸すればいい」
と思いがちですが、これは必ずしも正解ではありません。
大切なのは、呼吸の量を無理に増やすことではなく、自分の身体に必要な呼吸へ戻していくことです。
特に過換気の状態では、必要以上に呼吸を増やすことで二酸化炭素が低下し、症状が悪化することがあります。
「大きく吸う」より、
ゆっくり、無理なく、自然に吐く。
このくらいの意識から始めるほうがよいでしょう。
呼吸が浅いとき、病院に行くべき?
ここは非常に重要です。
次のような場合は、自己判断で「ストレスだから」と片付けず、医療機関に相談しましょう。
- 息苦しさが長く続いている
- 徐々に悪化している
- 少し動いただけで息切れする
- 咳や痰が続いている
- ゼーゼー、ヒューヒューする
- 胸の痛みがある
- 発熱を伴う
- 夜間や明け方に呼吸が苦しくなる
- 日常生活に支障が出ている
特に、突然の強い息切れ・呼吸困難や胸の強い痛みなどがある場合は、緊急性の高い症状です。
厚生労働省も、成人の「急な息切れ・呼吸困難」を、迷わず119番を検討する症状として案内しています。
「呼吸が浅い」は身体からの小さなサインかもしれない
呼吸は、普段ほとんど意識しないからこそ、変化すると不安になります。
しかし、
呼吸が浅い
=肺の病気
とは限りません。
ストレスや緊張、姿勢、身体の使い方、呼吸のクセなどによって、呼吸パターンが変化している場合があります。
一方で、
呼吸が浅い
=自律神経の乱れ
とも限りません。
喘息、COPD、感染症、心臓の病気など、医学的な原因が隠れている可能性もあります。
だからこそ、
「ストレスだろう」
「年齢のせいだろう」
と決めつけるのではなく、いつ・どんな状況で・どの程度の呼吸の変化が起きているのかを見ることが大切です。
呼吸は、自分の身体の状態を知るための一つのサインでもあります。
最近呼吸が浅く感じるなら、まずは肩や胸に余計な力が入っていないか、長時間同じ姿勢になっていないかを確認してみましょう。
そして、息苦しさが続く、悪化する、ほかの症状を伴う場合には、医療機関で原因を確認することが大切です。


