「病院に行かない高齢家族」をどう受け止めるか:新型コロナを恐れるあまりの"拒否"行動と向き合う

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「紹介状まで書いてもらったのに、『やっぱり行かない』だなんて…」
高齢の家族が、診察・紹介状・予約といった一連の医療の手続きをすべて終えたにもかかわらず、当日の夜になって突然「やっぱり病院には行かない」と言い出す。しかも、その理由が「新型コロナに感染したらどうするの」といった不安だとしたら――。
こんな理不尽にも思える言動に、振り回された経験を持つ方は決して少なくないのではないでしょうか。
今回は、あるご家庭で実際に起きた「新型コロナ」への過剰な恐れを背景とする受診拒否の事例をもとに、私たちがどのように対応すべきかを整理し、同じ悩みを抱える人へのヒントを共有します。
■ 事例の概要
ある日、家族の一人(高齢者)が体調不良を訴え、かかりつけ医の診察を受けたところ、より大きな病院での精密検査が必要とのことで紹介状が出されました。
ここまでは順調。予約も取り付け、本人も一応納得していました。
ところが、当日の夜になって「病院は怖い」「新型コロナにでも感染したらどうする」と言い出し、行かない宣言。
しかも「病院に断りを入れておいて」と、家族にその対応を丸投げしてきたのです。
■ この事例に潜む問題点
1. 医療機関に対する信頼の揺らぎ
新型コロナの流行以来、「病院=感染リスクが高い場所」というイメージが定着してしまった方は多くいます。とくに高齢者は、ニュース報道や過去の経験からくる「病院は危ない場所だ」という印象を強く持ってしまいがちです。
2. 不安や恐怖による思考の偏り
「行った方がいい」と頭では理解していても、「新型コロナが怖い」という強い感情に支配され、合理的な判断ができなくなってしまう。これはいわば、心のブレーキがかかった状態です。
3. 介護者・家族への精神的負担
「今さら何を言ってるの?」「もう予約してあるのに…」「病院に何て言えばいいの?」と、家族側は怒りと困惑でいっぱいになります。特に、立場上強く言えない関係性の中で板挟みになることは、非常に大きなストレスです。
■ 解決策と対応のヒント
では、このような事態にどのように向き合うべきなのでしょうか。
◎(1)まずは感情を受け止め、否定しない
一番してはいけないのは、「何言ってるの?今さら!」と頭ごなしに否定することです。
たとえこちらから見れば非合理な言い分だったとしても、本人にとっては真剣な「恐怖」です。「怖いんだね」「不安なんだね」と、まずは気持ちに寄り添うことが出発点です。
◎(2)事実ベースでの安心材料を示す
「今の病院では感染対策がしっかりしているよ」「コロナ病棟とは完全に分かれている」といった具体的な情報を共有することが有効です。
実際に病院のホームページを一緒に見たり、電話で病院の対応を確認するのも良いでしょう。重要なのは、「なんとなくの安心感」ではなく、根拠のある安心材料を提示することです。
◎(3)病院側との連絡は率直に事情を伝える
紹介状を書いてくれた医師や、予約した病院には、正直に事情を伝えましょう。
「高齢の家族が、新型コロナへの不安を強く感じており、当面の受診が難しい状態です」と伝えれば、病院側も柔軟に対応してくれるはずです。重要なのは、無断キャンセルにしないこと。信頼関係を保つためにも、こちらからきちんと説明することが大切です。
◎(4)次の選択肢を提案し、“保留”の余地を作る
完全に拒否されたとしても、「じゃあ来週また考えてみようか」「まずは電話で先生と話してみようか」といった時間をおいた対応策を提示するのが効果的です。
「今すぐ決断しなくていい」と伝えることで、不安が一時的に緩和されることがあります。
■ この体験が投げかける問い
今回のような出来事は、単なるわがままではありません。
高齢者が抱く「病」や「死」への不安、そして新型コロナによって増幅された現代特有の恐怖が根底にあるのです。それに直面するのは簡単なことではありません。でも、その気持ちに付き合い、共に考えることで、家族関係が少しずつ変わっていくこともあります。
おわりに
今回ご紹介したエピソードや対処法は、多くのご家庭でも起こりうるものです。
「家族の言動に振り回されて疲れた」
「自分ばかりが責任を押しつけられている気がする」
そんな思いを抱えている人がいたら、ぜひこの記事をシェアしてみてください。
ひとりで抱え込まなくていい。共感しあえる人が、きっとどこかにいます。
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